SCAAのカッピングルールのまとめ。コーヒーは嗜好品なので人によって好みが異なります。そのあいまいで主観的な味の世界を客観的に評価しようとするのがカッピングの目的です。素材(生豆)の評価・ロースト(焙煎)の評価・ブレンドの評価・カッパー技能の評価を行います。
カッピングは評価団体によってルールが若干異なり、今回はSCAA(Specialty Coffee Association of America)のプロトコルと呼ばれる規約に基づいた内容にて書いていきます。SCAAの評価の特徴は、従来からのコーヒー豆の生産地が実施してきたネガティブ評価(減点法)から消費地側のポジティブ評価(加点法)に変えた点です。ディフェクト(欠点)があるか無いかという評価から、ディフェクトは無い(微小である)ことを前提にした上で、さらに個性があるかその質はどうなのかというより次元の高いの評価を可能にします。
カッピングの評価の目安(SCAA)
90点以上:個性が明確。(一般的な産地の特徴とは異なる。)
85点以上:産地の特徴が明確
80点以上:クリーンなコーヒー(必ずしも産地の特徴が明確ではない。)
SCAAの評価では個性に比重を置いているのが分かるかと思います。80点以上でスペシャルティコーヒーと呼ばれ、それ以下はプレミアムコーヒー、さらにコマーシャルコーヒーと分類されていきます。また90点以上ではTop of Top(トップ・オブ・トップ)とも呼ばれ大変貴重なもので流通量が少なくオークションなどで主に取引されています。
SCAAのカッピング時のロースト度は浅煎りで、焙煎度合いの色目基準であるアグトロン55前後を基準とします。焙煎を浅くすることで酸味が際立ち個性もハッキリとします。逆に深く焙煎していくほど、ある意味炭化も進んでいくので豆の持つ個性も薄れていきます。カッピング時のロースト度はあくまでも生豆を評価する為のもので、普通に飲んで美味しいかどうかは別の話です。かなり酸味が強く出た味になります。
カッピングの準備(SCAA)
・サンプルはカッピングの直前に挽き、挽いてから15分以内に湯を注ぐ。
・サンプルは豆のまま計量する。
・各カップ分のサンプルを個別に挽きグラスに入れておく。
・1サンプルにつき5カップ用意。
・理想的な比率はコーヒー豆5.5gに対し湯100ml
・湯の温度は93℃
・湯はコーヒー粉に直接かけカップの縁まで注ぎ粉全体が浸るようにする。
・コーヒー粉はかきまぜずに3~5分置いたうえで評価を始める。
評価項目(SCAA)
1. Fragrance/Aroma(フレグランス/アロマ)
粉の香りと液体の香り。その強弱と質の評価。
2. Flavor(フレーバー)
液体を口に含んだ時に鼻と口にぬける風味の評価。
3. Aftertaste(アフターテイスト)
液体を口に含んだ後の余韻の評価。
4. Acidity(アシディティ)
酸味の強弱と質の評価。
5. Body(ボディ)
コーヒーを口に含んだ時の粘性(コク)の強弱と質の評価。
6. Uniformity(ユニフォーミティ)
味の統一性。5カップの味のバラツキが無いかを評価。
7. Balance(バランス)
FlavorとAcidityとBodyのバランスを評価。
8. Clean cup(クリーンカップ)
欠点や雑味がないことを評価。
9. Sweetness( スイートネス)
甘さの評価。
10. Overall(オーバーオール)
総合評価。
10 項目×10 点=100 点
カッピングの手順
1. 注湯前のコーヒー粉のFragranceを評価する。
2. お湯を注いだ後にクラスト(液体の表面に浮かぶコーヒー粉の膜)を壊さず3~5分置いた後に、3回かきまわしクラストを壊しスプーンの背で泡をよけながら香りを嗅いでAromaを評価。
3. サンプルの温度が70℃に下がった段階(10~12分後)にて Flavor・Aftertasteの評価を。さらにサンプルの温度が下がっていく段階(70~60℃)にて Acidity・Body・Balanceを評価。
4. サンプルの温度が室温(38℃未満)に近づいたら Sweetness・Uniformity・Clean cupを評価。サンプルの温度が21℃になったら評価をやめる。全てを総合判断しOverallを評価。
5.各項目の評価が終わったら、全ての評価を合算しトータルスコアを算出。ファイナルスコアはトータルスコアからしいディフェクト分を減算して算出。
SCAA カッピングフォーム
堀口珈琲研究所にてのカッピング風景