浅煎りと深煎りの違いをコーヒーロースターの視点から説明したいと思います。
1. どこからが浅煎りで、どこからが深煎りか?
国内では一般的に、コーヒー豆のローストの度合いは『 ローストの8段階 』によって分けられるケースが多いです。
それをもっと単純に、ハイローストを中煎りとして、それより浅いものを大まかに浅煎り、深いものを深煎りと大別するのが一般的です。
ただし焙煎の度合いの表記には統一した決まりは無く、国や店によってもまちまちなところもあります。
参考: ローストの8段階 – MORIFUJI COFFEE
2. 浅煎りと深煎りの焼色の違い。
浅煎りと深煎りは色味が異なります。浅煎りは豆色が薄く、深煎りは濃く黒くなります。ローストの8段階で一番浅いライトローストと一番深いイタリアンローストとでは釜出しの温度が50℃近く差があります。
3. そもそもなぜ、浅煎りや深煎りなど煎り分けるのか?
浅煎りと深煎りの決定的な違いは、酸味と苦味の量が異なることです。浅煎りは酸味が多く、深煎りは苦味が多くなります。
酸味や苦味以外にも、ロースト度合いによって全く違った香味に変化させることができます。
特に浅煎りでは焙煎に於ける1℃の違いで表れてくるフレーバーも違ってきます。例えばレモンのような明るい柑橘系のものからオレンジ、プラム、ベリーなどへと変化していくといった具合です。
コーヒー豆は元々コーヒーの木から穫れる果実の種です。それを精製し焙煎したものがおなじみのコーヒー豆となります。ですから浅煎りであるほど、果実の成分が色濃く残っていてそれがフルーツのような酸味を醸し出しているのです。
同じ生豆でも焙煎如何で多彩な表現が可能となるのです。
4. 硬さと膨らみの違い。
コーヒー生豆は焙煎の過程で水分が揮発し縮んでいきます。そしてある段階まで縮むと今度は反対に膨らんでいくのです。
浅煎りの豆は収縮過程を過ぎて膨張に入りかけた段階ですので、まだ膨らみが少なく締まっていて硬いのです。一方、深煎りの豆は完全に膨張過程に入っていますので膨らみが大きくサクサクしています。
ローストを進行させる程コーヒー豆の組織が拡張してくるため、同じ重さでも深煎りの豆の方が量が多く見えます。浅煎りはあれっと思うほど少なく見えることがありますがその分質量が重くぎゅっと詰まっています。
5. 浅煎りと深煎りの挽き方は同じでいいのか?
ローストが浅いほど豆が硬いので小型の家庭用ハンドミルで挽くには力を必要とする場合があります。一方、深煎りの豆は脆く崩れやすいので粒に成りきれずパウダー状になりやすい傾向があります。
※裏技
浅煎りと深煎りの豆を同じメッシュサイズ(粒大きさ)にする場合、浅煎りは挽目をやや細かく、深煎りではやや粗くする必要があります。どの程度調整するのかは使用するコーヒーミルによって違ってきますので実際に試してみてください。
6. 豆表面が油で覆われているものと、全く油が浮いていない豆があるのはなぜか?油分の浮き方の違い。
深煎りは表面に油分が浮いてギラギラとしている場合があります。これはローストを一定以上に深めると内部の油分が表面に滲み出してくることによって起こるものです。また焙煎してからの日数経過によっても油分が染み出してきます。
一方、浅煎りは油分はほとんど浮いてきません。
7. 湯を注いだ時の粉の膨らみの違い。
深煎り程よく膨らみ、浅煎り程膨らみは少なくなります。
よく豆の膨らみは鮮度を表すとも云われますが、浅煎りは焙煎直後でもあまり膨らみません。
深煎りは組織が膨んでいてそこに炭酸ガスを内包しています。湯をかけることでガスが放出されて粉が膨らむのです。
8. カフェインの量は違うのか?
浅煎りと深煎りで同じ重さで計測するとカフェインの含まれる量はほとんど変わりません。
9. 注目のポリフェノールの量は違うのか?
活性酸素による細胞の老化や損傷を防ぐ効果があるとされるコーヒーポリフェノール。天然由来で美容と健康に抜群に良いと注目されています。
コーヒーポリフェノールは焙煎する前の生豆に多く含まれており過度の熱に弱い性質があります。ですから浅煎りの方がポリフェノールを多く含んでいます。
コーヒーの成分や効能については、別の機会に詳しく纏めてみたいと思います。
Sinnamon Roast – 浅煎り
Medium Roast – 浅煎り
High Roast – 中煎り
City Roast – 深煎り
French Roast – 深煎り
MORIFUJI COFFEE は 2015/10/02 に開催されるコーヒーローストの競技 RMTC 2015(ローストマスターズチームチャレンジ)関東チームとして参加しています。
追記:関東チーム準優勝となりました。
RMTC 2015(ローストマスターズチームチャレンジ)関東チームとして参戦 準優勝!!