ジャパン ブリューワーズ カップ (JBrC) 2014/15 決勝戦レポート②

この記事は『 ジャパン ブリューワーズ カップ (JBrC) 2014/15 決勝戦レポート① 』の続編となります。

2015年6月にスウェーデン・ヨーデポリでブリューワーズ カップの世界大会『 WBrC 2015 』が行われます。その大会へ向けての日本代表選手の選考を兼ねて行わるSCAJ主催『 ジャパン ブリューワーズ カップ JBrC 2014/15 』 決勝戦を観に行きましたのでレーポートさせて頂きます。

『ブリューワーズ カップ』とは、ペーパードリップ、ネルドリップ、フレンチプレス、エアロプレスなど機械的動力を伴わない手動の器具を、競技者が自身で選択し抽出技術を競う競技会です。そこから生み出されるコーヒーの味わいも多様であり、コーヒーの魅力をどのように引き出すか、技術や知識とともに、競技者の個性と創意工夫が問われます。

前回の記事『 ジャパン ブリューワーズ カップ (JBrC) 2014/15 決勝戦レポート① 』では、優勝者の上田 脩太 選手 ( Amameria Espresso 東京都 ) エアロプレスにての独創的な抽出とプレゼンを中心にレーポートさせて頂きました。

ジャパン ブリューワーズ カップ JBrC 優勝者発表  JBrC2014-15-10

優勝者の発表の瞬間。中央の二人のうちどちらかが優勝、どちらかが2位。既に決まっているとはいえ発表の瞬間は緊張します。

JBrC2014-15-11

今回の記事は惜しくも2位の 村田 果穂 選手 (UCCホールディングス株式会社 所属)のプレゼンテーションを中心にレポートいたします。

村田選手のプレゼン準備風景。使用豆はグアテマラ・エルインヘルト農園・パカマラ種・ウォッシュト精製。試飲させて頂いた感じからはローストはミディアム~ハイ程度と思われます。

クレバードリッパー JBrC2014-15-12

3名の審査委員を前にカップやプレゼンボードを並べて準備します。村田選手はクレバードリッパーを使用。クレバードリッパーとは底に栓の機能があって注いだ湯を貯められるようになっています。サーバーの上に載せると栓が開き液体が抽出されます。

ウォシュト精製・完熟・アフリカンベット JBrC2014-15-13

使用豆の説明シーン。ウォシュト精製・完熟・アフリカンベットその3つによりクリーンな味わいが得られるとの内容。

スチームロースト JBrC2014-15-14

焙煎にも特徴があり、スチームローストという技法が取り入れられています。ロースト過程においてスチーム(蒸気)を投入することで豆の中心~外側まで均一にふっくらと膨らむといった内容。

クレバードリッパー JBrC2014-15-15

ドリップシーンです。村田選手のドリップのコンセプトは『誰にでも簡単に美味しいコーヒーが淹れられること。』いかにドリップをシンプルにできるのかを追求した一つのスタイルのように思いました。

細挽きの豆を使い1分間で浸漬完了。いわゆる『蒸らし』とドリップを短時間で一緒に行ってしまうスタイル。投湯完了後は約45秒でカップに液体を落としきります。

クレバードリッパー JBrC2014-15-16

クレバードリッパーをサーバーに載せ液体を落としているシーン。

村田選手のプレゼンテーションは、ビジュアルが豊富で視覚的に分かり易い内容でした。口調や姿勢も穏やかでいて理路整然とした素晴らしいプレゼンテーションであったと思います。

その他特徴的だった選手をピックアップしてみます。

JBrC2014-15-17

佐藤 英徳 選手(シーシーエスコーヒー株式会社)カリタのウエーブドリッパーを使い、粉をエスプレッソで用いられるタンパーという器具で押し固めた上でドリップするといった独創的なスタイル。投湯時に粉を暴れさせないように、ゆっくりと湯が粉に浸透していくとのこと。

JBrC2014-15-18

ハリオV60ドリッパーにメリタのアロマフィルターを使った近井 博規 選手( 株式会社NOZY珈琲 )

JBrC決勝競技風景 JBrC2014-15-19

競技中の風景。審査委員やカメラマン、報道、関係者、観客に囲まれながらのプレゼンテーションとなります。

尾籠 一誠 JBrC2014-15-20

審査委員の中には前回のJBrCチャンピオンの尾籠 一誠氏の姿もありました。(着席している3審査員の中で手帳とペンを持っている人)

最後に個人的な総評ですが、ますは各選手の創意工夫が物凄いと感じました。従来から云われているような方法ではなくオリジナリティー溢れる数々のスタイルに興奮を覚えました。

しかし、ここで見落としていけないのはスタイルの先にあるカップ(液体)であって、スタイルというのはその表現したいカップを作るためのプロセスに過ぎないということ。表現したいカップに合わせてスタイルは柔軟に変化させるべきではないかということ。

そして良いカップを作るには、やはり最終的にはカッピングスキルや経験というところに行き着くのではないかと思います。味の良し悪しを判断でき、その調整ができるということ。スタイルが自由になるほど結果としてのカップの良さに判断が集中するからです。

各選手が決勝に持ち込んだ勝負豆は様々で、パナマ ゲイシャ、ケニア、グァテマラ パカマラ、ブラジル パルプドナチュラル・・etc 普通に考えればコーヒー豆として評価の高いパナマゲイシャが有利なようにも思えますが、結果からすると必ずしもそんなことは無いようです。

今大会では、各選手が決勝に持ち込んだ勝負豆を観客がテイスティングできたのですが、どれも溢れるばかりのジューシーさと甘味を伴ったレベルの高い豆でした。

私(ロースター)の立場で自分に置き換えて考えると、その豆に合った最適なローストを施せば、どの豆でもそれなりのレベルのコーヒーに高められることができるのではないかと・・改めて考えさせられました。もちろん品質の良い生豆を使うことが前提ではありますが。当店( MORIFUJI COFFEE )での焙煎業務も身が引き締まる思いです。

今大会をキッカケに、ドリップのオリジナリティーというものがより広がっていくような気がします。ドリップはより自由であれ。

ジャパン ブリューワーズ カップ (JBrC) 2014/15 決勝戦レポート①
ジャパン ブリューワーズ カップ (JBrC) 2014/15 決勝戦レポート②

  • 珈琲
  • 抽出
  • 研究
Tomomichi Morifuji

関連記事