前回の記事『カリタ ナイスカットミル レビュー ③ 掃除編 』では、ナイスカットミルの分解清掃の仕方をレビューしました。今回の記事は、ナイスカットミルのメッシュサイズ(挽目)について説明します。
ナイスカットミルの挽目ダイアルは#1(極細) ~ #8(極粗)まで8段階あり、さらにその中間の0.5刻みを合わせると全部で15段階調整できるようになっています。
コーヒー豆を挽くという行為は、ある意味マイクロパウダー(微粉)との戦いです。マイクロパウダーとはメッシュ(粒)になりきれずにパウダー状になってしまうもののことを指します。マイクロパウダーはメッシュに比べて粒子が非常に細かいのが特徴で、ドリップの際にメッシュに比べて抽出が濃く早く進みます。よってマイクロパウダーだけが過抽出になりドリップの精度を狂わせることがあります。
このマイクロパウダーをどう扱うのか・・コーヒー研究者たちを長年悩ませてきました。フルイを使って微粉を取り除いた上でドリップすることもあります。いづれにせよマイクロパウダーの発生が少ないコーヒーミルの方が性能の良いコーヒーミルだとも言えます。
まず、コーヒー豆を20g正確に計量します。使用するコーヒー豆は MORIFUJI COFFEE のコロンビア・ナリーニョ・ハイローストです。挽いた豆を茶漉しでしっかりと振るい、メッシュとマイクロパウダーに分離させてそれぞれの重さを測ります。
#1 ~ #8 まで実際に挽いてみて、メッシュサイズやマイクロパウダー(微粉)の量について検証してみます。カリタ ナイスカットミル 20gの豆を挽いた場合のメッシュとマイクロパウダーの量。(茶漉しの目のサイズは40メッシュ)
挽目ダイヤル①番 メッシュ 8.4g 微粉11.6g (58.0%)
挽目ダイヤル②番 メッシュ13.2g 微粉 6.8g (34.0%)
挽目ダイヤル③番 メッシュ15.2g 微粉 4.8g (24.0%)
挽目ダイヤル④番 メッシュ15.6g 微粉 4.4g (22.0%)
挽目ダイヤル⑤番 メッシュ17.2g 微粉 2.8g (20.0%)
挽目ダイヤル⑥番 メッシュ17.7g 微粉 2.3g (11.5%)
挽目ダイヤル⑦番 メッシュ18.1g 微粉 1.9g ( 9.5%)
挽目ダイヤル⑧番 メッシュ18.7g 微粉 1.3g ( 6.5%)
比較参考として、SCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)のカッピングでも使用されている『 カーティスコーヒーグラインダー GSG 』にて、同じメッシュサイズを作りメッシュとマイクロパウダーの量を計測したところ、①番、②番といった極細挽き~細挽きに於いて、ややマイクロパウダーのウェイトが多いものの③番以降は、ほぼ同じという結果でした。また『フジローヤル みるっこ DX R220 カット臼 』とも同程度でした。
挽目ダイヤル①番はマイクロパウダーの比率が極端に多いですが、メッシュサイズ自体が非常に細かくマイクロパウダーのサイズに近いため、そういった極細メッシュを使いたい用途限定になると思います。例えばエスプレッソ用など。
性能指標の一つとして『 マイクロパウダーが少ない = 性能の良いミル 』 と考えた場合、ナイスカットミルの価格を上回る高価な電動コーヒーミルと比べてもマイクロパウダーの発生が同等程度であり、マイクロパウダーが少ないミルとも言えます。私自身今回の結果に少々驚きました。
それではナイスカットミルのメッシュとマイクロパウダーを写真で見ながら比較検証していきましょう。
挽目ダイヤル①番と⑧番の比較です。上段がメッシュ、下段が茶漉しで分離させたマイクロパウダーです。①番はマイクロパウダーの比率が多く⑧番が少ないです。挽き目を粗くすればマイクロパウダーは少なく、また挽き目を細かくすれば多くなります。これはどのミルに於いても共通の特徴といえます。
挽目ダイヤル①番のメッシュ。極細で極めて細かくエスプレッソ向きだと思います。
挽目ダイヤル②番のメッシュ。細挽きに相当。グラニュー糖程度の大きさ。ドリップでも細目の場合に良いと思います。
挽目ダイヤル③番のメッシュ。中細挽きに相当。ドリップでの標準的な挽き目。
挽目ダイヤル④番のメッシュ。中粗挽きに相当。ドリップでも少し粗めの場合に良いと思います。
挽目ダイヤル⑤番のメッシュ。粗挽きに相当。ドリップでもかなり粗めの場合に良いと思います。また⑥番以降は極端に粗く特別なケースでの使用以外は通常使うことは少ないのではないかと思われます。
参考までに挽目ダイヤル⑧番のメッシュ。
総評として、今回ナイスカットミルを実際に購入し、概要・使い方・掃除・挽き目とレビューを続けました。市場での実売価格15,000円~17,000程度の価格ということを踏まえると、値段相当、もしくはそれ以上の価値のあるミルだと個人的には感じました。
比較対象として、価格帯ではワンランク上にはなりますが『 フジローヤル みるっこDX 』は、価格に見合ったガッシリとした丈夫な作りと、トルクのあるモーターを備えています。それと比べると、ナイスカットミルは価格なりの作りで質感的には劣りますが、肝心のメッシュについては、カット刃がしっかりとしている為、みるっこDXに負けてはいない感があると思います。
お値段以上の価値のある、まさにナイスなミルだと思います。
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カリタ ナイスカットミル レビュー ① 概要編
カリタ ナイスカットミル レビュー ② 使い方編
カリタ ナイスカットミル レビュー ③ 掃除編
カリタ ナイスカットミル レビュー ④ 挽目編
フジローヤルコーヒーミル みるっこDX R-220 レビュー ① 特徴と使い方
フジローヤルコーヒーミル みるっこDX R-220 レビュー ② メッシュと微粉
フジローヤルコーヒーミル みるっこDX R-220 レビュー ③ 分解清掃