カリタ イージーカットミル EG-45 レビュー

カリタの電動コーヒーミルのエントリーモデル「イージーカットミル」がバージョンアップし「イージーカットミル EG-45」となり発売された。メーカーであるカリタのセールストークとしては「微粉が当社比約50%減。メッシュがより均一です!」とのこと。果たして本当なのか?「イージーカットミル EG-45」を実際に購入し使用感をレポートしたいと思います。

イージーカットミル EG-45の最大の存在意義は、電動コーヒーミルの中では値段が安いこと。( 実売価格 2,500円~3,000円程度 )この価格であれば、コーヒーミルを持っていない人にも先ずは薦めやすい。

しかし、この価格帯の電動コーヒーミルは、ミル刃がプロペラ式であり、上位のミルに比べるとメッシュの均一性が悪く、さらにメッシュの大きさの調整はミルを回している時間でしか決められない。また、粒になりきれずに粉となってう微粉(マイクロパウダー)が多く発生しがちだ。

上記の理由から、プロペラ式のミルは値段は安いが内容としては使用に堪えられないとして、私は人には薦めてこなかった。しかし「イージーカットミル EG-45」のカリタのセールストーク「微粉が当社比約50%減。メッシュがより均一です!」が本当なのであれば話は変わってくるかもしれない。私は淡い期待と同時に、ハズレても安いからいいかという割り切りも含みで購入した。

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大きさは電動ミルとしては非常にコンパクト。スタイルもブラックボディーにレットのボタンと精悍だ。操作もいたってシンプル。

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グラインダー部はプロペラ式。新型のイージーカットミルは底面にフィンをつけることで豆の攪拌をうながし微粉の減少とメッシュの均一性が高まったとのこと。

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40gまで一度に挽けるとあるが、中間値の20gを挽いてみることにする。豆は標準的なものとしてコロンビアのシティーローストを使うことにした。焙煎豆はロースト度合いにより硬さも違う。ローストが浅い程、豆は硬く締まっているが、ローストが深い程、脆く崩れやすく微粉も増えやすい。ローストが深いほど挽きは難しいのだ。

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約10秒間回してみた。まだメッシュが粗いので追加で回してみる。狙ったメッシュサイズになった。メッシュサイズのばらつきは思ったよりも少なく良い感じだ。

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メッシュの大きさの調整はミルを回している時間でしか決められないが、こうしてメッシュの大きさを確認しながら追加でフォローすることができるので、慣れればメッシュ合わせは問題はないように思う。

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挽いた粉を別に移すと容器底面に微粉が残る。これで微粉が除去できると考えれば問題ない。間違ってもこの微粉をもったいないと思って粒に混ぜてしまってはダメ。美味しい珈琲を淹れるには、微粉はなるべく少ない方がいい。なぜかというと微粉は粒に比べて抽出が早く進み出し殻の味(エグミ、雑味)の原因になるからだ。業務用のハイエンドのコーヒーミルでも程度の差はあれ微粉は出る。

コーヒーミル微粉除去

微粉の量を見るために、茶コシでふるってみることに。

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手前がコシたメッシュ。奥が分離させた微粉(マイクロパウダー)

コーヒーミル比較 メッシュ 微粉

比較対象として、SCAAのカッピングでも使われている業務用コーヒーミル「Curtis GSG」で同じ豆、同じ量、同じメッシュサイズで挽いた。写真左側が「イージーカットミル EG-45」のメッシュとマイクロパウダー。写真右側が業務用コーヒーミル「Curtis GSG」のメッシュとマイクロパウダー。

違いは一目瞭然だ。業務用コーヒーミル「Curtis GSG」の方が圧倒的にマイクロパウダーが少なく、その分メッシュの量も多く見える。残酷なようだが、3,000円のミルと数十万円のミルとでは、これぐらいの違いがあるのだ。

このままでは、業務用コーヒーミルと同じ条件で挽いても、マイクロパウダーの量が多くメッシュが少ないという最悪の状態で、ずいぶんと違う味になってしまう・・・ では、どうするか。イージーカットミル EG-45ではメッシュを細かくしすぎない。むしろ粗めに挽くことによってマイクロパウダーの発生を少しでも抑制させる。どうしても出てしまうマイクロパウダーは茶コシでふるって除去する。採れるメッシュが少なくなる分、予め豆の量を増やしてフォローする。考えられる対策としてはこんなところだ。

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使用後はフタや容器に付着した微粉を刷毛で掃除する。付属の刷毛もあるが、私は使い慣れた刷毛を使った。掃除は使用後に毎回行った方が良い。コーヒー豆は粉にした瞬間から急速に酸化が進む。さらにキッチンなどにミルを置いていた場合は、熱気や湿気の影響を受けて条件はさらに悪くなる。フタや容器に付着した微粉は数時間放置されれば変質していると思った方がよいだろう。

美味しいコーヒーを淹れようというのであればミルの掃除はつきもの。面倒くさがらずしっかりやりましょう。業務用のミルでも掃除はマメに行います。

結論として、「イージーカットミル EG-45」は実売価格 2500円~3000円程度ということを考えれば値段相応の商品だと思う。


予算別に家庭用として薦められる電動コーヒーミルを比較

deviceSTYLE コーヒーグラインダー GA-1 8,380円
この価格帯の中では一番評判が良い。グラインダー部はコニカル刃でレギュラーコーヒーからエスプレッソの極細まで挽ける優れもの。

Kalita ナイスカットミル 15,480円
カリタのスタンダードモデル。業務用のミルをそのまま小さくしたようなスタイル。グラインダー部はカット刃でメッシュもキレイ。カット刃らしいスッキリとした味わいのコーヒーを淹れられる。

フジローヤル みるっこDX 35,450円
焙煎機メーカーのフジローヤル製 家庭用ミルの最高峰 業務用途でも使用可能。スタンダードとエスプレッソ対応の2種類のモデルがあり。グラインダー部は臼刃で、コクのあるコーヒーが淹れられる。微粉が少なくメッシュも整う。予算が許せばコレを買っておきたい。値段の差はモーターの大きさとトルクの差。ある意味一生ものです。

最後に、いったいコーヒーミルは何を買えばよいのか・・この答えは非常にシンプルだ。予算が許す範囲で値段の高い物を買うことだ。良いものはそれなりの値段がする。電動コーヒーミルにに関しては価格相応の内容となっていると感じる。要はコーヒーミルにどれだけコストを出す気になるのかというだけの話なのかもしれない。

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Tomomichi Morifuji

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