コーヒー関係者ならいつかは取っておきたい資格、コーヒーのソムリエことCQI認定Qアラビカグレーダー(以下Qグレーダー)の試験に挑戦しました。Qグレーダーとは、CQI(Coffee Quality Institute)が定めた基準・手順にのっとってアラビカ種のコーヒーの品質(Quality)を評価(Grading)することができる技能者の国際認定資格です。
Qグレーダーを持っていると、どうゆうメリットがあるのかというと・・上記のようにコーヒーを国際的基準に従って客観的に評価できるようになること。Qグレーダーが美味しいと評価したコーヒーには客観的な説得力があること。
この資格を取るには、6日間連続の研修・試験を受けて、期間中に8科目20試験全てに合格しなければなりません。いやはやこれが大変なのです(汗)僅かな誤差や読み違いであっという間に科目を落としてしまいます。感覚を研ぎ澄まし精神集中して取り組まなければなりません。
落とした科目があればリテイク(再試験)を受けることができますがリテイクの機会は年に2回。すなわち半年間モヤモヤした気持ちで待つことになります。しかも試験会場は神戸のUCC本社ビルなのでリテイクの度に神戸まで行く必要があります。さらにリテイクのチャンスは2回まででそれ以上の場合は失効となってしまうというキビシさです(汗)
先ずは風邪をひいたり体調を崩すと味覚・嗅覚が狂うので、試験の一週間前くらいから絶対に風邪をひかないように体調管理には気をつけます。
なお、研修・試験の内容については、公に提示されている内容以外の具体的な情報や写真などの公開は許されていないため、当記事では問題の無い範囲にて書いて行きます。
2014年度 CQI認定Qグレーダー 試験科目一覧
① General Coffee Knowledge
Qグレーダーとして必要なコーヒーに関する知識を問う筆記試験です。
② Sensory Skills Tests A
③ Sensory Skills Tests B
④ Sensory Skills Tests C
センサリースキルズ : 味覚に関する科目です。甘・塩・酸・苦という基本の味4種類のうち前3者に関する味覚の鋭敏さについて審査されます。ショ糖・食塩・クエン酸を水溶液にして単体または混合したもの、また濃度違いのものがシャドウで出題され、添加されているものの種類や濃度を回答します。
⑤ Olfactory Tests A
⑥ Olfactory Tests B
⑦ Olfactory Tests C
⑧ Olfactory Tests D
オルファクトリー : 嗅覚に関する科目です。コーヒーに含まれることが多い36種類の香りを識別・判定する能力があるかを審査されます。
⑨ Triangulation Tests #1
⑩ Triangulation Tests #2
⑪ Triangulation Tests #3
⑫ Triangulation Tests #4
トライアンギュレーション : 産地等に起因するフレーバー属性の違いからコーヒーを区別する能力があるかを審査されます。試験の方法は、3つのコーヒーからひとつだけ異なるものを官能評価(カッピング)によって識別するというものです。
⑬ Organic Acid Matching Pairs Test
有機酸マッチングペア : コーヒーに含まれる有機酸を添加したコーヒー液をカッピングし、それぞれの酸の風味を識別する能力があるかを審査されます。
⑭ Roasted Sample Identification
ローストアイディー : ローストによる風味の違いを判別できる能力があるかを審査されます。
⑯ Green Coffee Grading
グリーングレーディング : 生豆・焙煎豆に関するCQIが定めるディフェクトの種類と等価換算、点数に基づく等級などを時間内に的確に格付けができるか審査されます。
⑰ Cupping Tests #1
⑱ Cupping Tests #2
⑲ Cupping Tests #3
⑳ Cupping Tests #4
カッピング : CQI方式に基づいてコーヒーの官能評価をする技能があるか、カッピング試験を通じて審査されます。
以上20科目。
自宅でのカッピング練習
Qグレーダーの合宿試験は朝8:30よりスタートします。初日から朝早いので私は合宿の前日に神戸入りしました。Qグレーダー試験の本コースの募集人数は24人。この6日間どうなることやらと初対面の皆さんは緊張した感じでしたが次第に溶け合ってきます。
毎日18:00くらいまで講習やら試験が詰まっていて、その後会場が閉まる19:00まで自主勉強。終わってホテルに戻るとバタリと倒れ気づくと寝ている状態。ハッと気づくとAM 3:00くらいで慌てて予習・復習。まるで受験生の気分です(汗)
途中、とんでもない列車に乗ってしまった・・時期尚早だったのではないかと不安になることもありましたが、参加メンバー同士の何気ない支えあいに気持ちが楽になることもありました。
1~2日目までが講習で3日目の最後から試験が始まります。最初の試験はローストアイディーでした。試験になると皆表情が違いますね。練習ではどうぞお先に・・なんて譲りあっていたものが試験では我先にです。カッピングスプーンはぶつかり合うは検体の液体は無くなってしまうはで・・周りの気迫に押されてしまいました。皆必死です。
試験の結果は基本的に次の日の朝に発表になります。私は最初の試験科目であるローストアイディーを落としてしまいました。20科目全て合格しないとQグレーダーの資格は取れないというのに最初から落としてしまってさい先悪くガッカリしましたが、でも逆にそれで開き直れて緊張がほぐれました。とにかく一つでも多く取ってやるぞと。
落とした試験科目があっても決してネガティブになってはいけません。最終日にリテイクをしてくれるかもしれないし、何より次の試験がまっているので気力を整えます。とにかく一つ一つの試験に最後まで集中して取り組むのみです。
試験の連続も5日目が終わる頃には、そのペースにだいぶ慣れてきます。そんなこんなで6日目最終日が訪れました。試験科目全ての結果が開示されます。その段階で全て合格していればQグレーダーの資格所得は決定です。落としてしまった科目があれば追試にかけるのみです。全体としてはちょこちょこ落としている人の方が多いです。人それぞれ得意科目・不得意科目がありますね・・
私は落としてしまった科目のリテイクに全力集中。祈るような思いで答案用紙を試験官に提出。追試は満点で合格。本コース期間中にQグレーダー試験20科目全てに合格となり資格所得となりました。
Qグレーダーの資格証明書は後日CQIから送られてくるそうで、その場では試験に合格したことを確認して帰りました。この6日間は非常に長く感じられました。毎日栄養ドリンクを飲んで活をいれ気力・体力・集中力の限界に挑戦したような感じです。試験が終わり合格したものの、何だかまだ試験が続いている気がして実感が沸いてきませんでした。
講師のMane Alves氏との記念撮影 6日間ありがとうございました。
10月の夕日が穏やかに神戸港に沈んでいきました。
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