SCAJ リトリート焙煎合宿に参加

SCAJリトリート焙煎合宿 八王子セミナーハウス

SCAJ(日本スペシャリティコーヒー協会)ローストマスターズ委員会が主催する第7回リトリート(焙煎合宿)にMORIFUJI COFFEEとして参加してきました。期間は2014年6月23日~25日の2泊3日。場所は八王子セミナーハウス。会場にはコーヒー生豆が合計1トンと最新の焙煎機が勢ぞろい。全国から50名の焙煎人が集まり各グループごとに課題を決め最終日に発表評価するという内容。

私にとっては、自分の焙煎機以外のものを触れる機会でもあり、また自分のやり方考え方以外の刺激を受けられる機会でもあり、期待に胸を膨らませての参加となりました。

会場で先ず目に入ったのは、最新焙煎機が並んだ壮観な様。熱風式焙煎機では注目の「ローリング スマート ロースター15kg」15kgのサイズは日本初登場とのこと。ローリング スマート ロースターの画期的なところは、排気を処理し再循環させることで熱効率を高められること。燃料費の大幅な節約が可能で環境にも優しいという訳。

またタッチパネルのコンピューター制御で焙煎中のコントロールや再現性に優れていること。冷却ファンが強力で煎り止め後瞬時に焙煎豆の冷却が可能。熱風式ならではの煎りムラが少なくクリーンな味が出せること。何だかローリングの営業マンのようになってしまいましたが(笑)今注目の最新鋭焙煎機です。

ローリング・スマート・ロースター15kgローリング スマート ロースター15kg 熱風式焙煎機

ローリング・スマート・ロースター タッチパネルローリング スマート ロースター タッチパネル

半熱風式焙煎機では、DIEDRICH ディードリッヒ・Probat プロバット・Giesen ギーセンと海外有名どころがずらりと並び、その中でも注目のギーセンはローストマスターズチャンピオンシップの世界大会でも使われており一度は触ってみたいと思っていたものでした。鋳造でできた機関車のような重厚なボディーは蓄熱性に優れ安定した温度変化を生み出すことができます。

また操作系はかなりシンプルで細かな調整をするというより、むしろ極端な変化を抑えた安定したローストを目指すといったコンセプトを感じさせるものでした。見た目はクラッシックですがPCと連結し焙煎時の温度変化をリアルタイムで表示記録できる機能を備えています。

Giesen ギーセンGiesen ギーセン 2kg 半熱風式焙煎機

ディードリッヒ DIEDRICH IR2.5ディードリッヒ DIEDRICH IR2.5 2.5kg 半熱風式焙煎機

Probat プロバットProbat プロバット 5kg 半熱風式焙煎機

プロバット

ディードリッヒは遠赤外線バーナーを搭載したモデルの「DIEDRICH IR2.5」バーナーと回転ドラムとの距離が近いのが特徴的に思えました。ディードリッヒは半熱風式焙煎機ならではのドラムからの熱(伝導熱)の利用を最大限に生かすといったコンセプトがあるようです。

またディードリッヒの焙煎理論についての1時間の講義があり、とても有意義な情報を得ることができました。投入温度、中点温度の取り方、中点から豆表面の温度が137℃に達するまでの温度カーブの取り方。何でも豆表面の温度が137℃になると内部温度が100℃になり水分が沸騰する温度に達するとのこと。

また特徴的だったのは1ハゼから2ハゼまでの時間と温度カーブの取り方。巷でよく言われるのが1ハゼ終わると温度上昇が早くなるから火力を絞って温度上昇を抑えるという話。ディードリッヒの焙煎理論ではむしろ逆で、1ハゼから2ハゼに向かってそのまま温度上昇を早め温度カーブをきつくしていくということ。そうすることにより酸味が残るということ。

焙煎に於けるパートによってのドラム熱(伝導熱)と熱風(対流熱)の配分やダンパーコントロール・・などなど。全ての動きに、なぜそうするのか・・というディードリッヒが研究した焙煎理論があり。目からウロコの話でした。これを聞けただけでもリトリート合宿に参加した意義があったというもの。

逆に少し残念だった点は、国内勢の焙煎機メーカーの参加(スポンサーシップ)が少なかったこと。ラッキーコーヒーマシーンとアプテジャパンの2社のみ。国内の焙煎機メーカーの重鎮 フジローヤルがまず来ていない。フジローヤルの熱風式最新モデル エボリューションも触ってみたかったかな。GRNの完全熱風式焙煎機や大和鉄工所の半熱風焙煎機マイスターや井上製作所など、国内勢でもユニークな焙煎機を生み出しているのに残念です。

SCAJリトリート焙煎合宿ラッキー 4kg 直火式焙煎機を前に皆さん真剣です。

SCAJリトリート焙煎合宿カッピング風景

今回のリトリート合宿では、ローストマスターズチャンピオンシップ2014統一テーマ 「お客様に感動を!」の流れを汲んだと思われる内容で、コンペティション性の高いものに成りすぎた今までのローストマスターズのスペシャルティコーヒーローストのあり方から立ち戻り、お客様に一歩近づいた珈琲焙煎を考えるという方向になりました。

我々のチームの課題は「クリーンであること」「甘味があること」この2つをキーワードとし使用豆もロースト度合いも焙煎機も個々で自由に選択し焙煎。最終的にBESTなカップを採択し提出するということになりました。

始めて触る焙煎機の勝手が分からず、メーカーの方に焙煎イメージを伝え、半分以上操作を手伝って頂きながら焙煎するといった具合(自分の場合は)。自分で焙煎したものの中では、ブラジルの豆をギーセンを使い10分でミディアムライトに仕上げたものが甘味が乗っていて良さ気と感じましたが、最終的にチームで一番として採択したのはボリビアの豆をプロバットにて高温短時間で仕上げたものでした。チーム内でのカッピングでは甘さはピカイチでしたね。

二番として採択したのはエチオピアのシダモG1をラッキーの直火式で焙煎したものでした。直火式焙煎機は全体としてはあまり注目されていないようでしたが、カップをしてみると良いではありませんか・・直火式の良さが上手く出て甘味が乗ったようです。今後、フジローヤルあたりからコンピューター制御の最新鋭の直火式焙煎機が出てきたりしたら焙煎シーンの幅も広がり面白いかもしれませんね。

最終日に各チームごとに2種類の豆を提出し全体での評価となりました。そこで面白かったのは、殆どのチームがエチオピアのシダモG1を提出してきたということ。やはりというかエチオピア強し。そして焙煎機は、熱風式の スマート。半熱風のディードリッヒ・プロバット・ギーセンそのあたりが強かったですね。

始めて触る焙煎機の勝手が分からず戸惑いがありましたが良い経験になりました。チームの皆さん色々とお世話になりました。あまった生豆や焙煎した豆を手みあげに持ち帰り、今度は復習です。

ディードリッヒの冷却ドラム

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Tomomichi Morifuji

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