2013年の年越し蕎麦は、静岡県熱海市多賀にある「手打ち蕎麦処多賀」で頂きました。以前この店に行った時、桜海老かきあげ天ぷらに感動し、いつかは「多賀」で年越し蕎麦をと考えていたのです。
通常の営業は夕方16:00までなのですが、大晦日は20:00までオーダーを延長とのこと。一応前日に予約をしてから伺いました。「多賀」のロケーションは目の前が海(相模灘)でいかにも新鮮な海鮮が運ばれてきそう。「多賀」の店舗は、静岡県函南町軽井沢の豪商であった大井五左エ門の築約200年の建物だそうです。それを日向利兵衛(1874実業家)が、ドイツの建築家ブルーノタウトを工事の監督として昭和5年熱海市多賀に別荘として現在の場所に移築。その後、別荘として数人の家主が変わり昭和54年7月7日に蕎麦処「多賀」を開店し現在に至るそうです。
僕が到着したのは19:00 大晦日の静寂な夜の空気、店の薄明かりに庭の緑が照らされていて何とも情緒のある感じ。店内に入ると意外にも満席ではなくスムーズに席に案内されました。後で聞いたところ、地元の人は早い時間に年越し蕎麦を食べて家に帰るそうで、遅い時間にくるのは観光客だそうです。土地変われば風習も違いますね。
オーダーしたメニューは「桜海老天ぷらそば」それと本日のおススメの「平茸の天ぷら」「手作りがんも」の3種。桜海老のかきあげ天ぷらは、サックリしていて桜海老の香ばしさ満点。蕎麦は、その日に使う量のみを石臼でひき薫り高いものを提供しているそうです。麺は完全なストレートではなく、細かい「ちじれ」が表面に入った感じで、ほんのりと透明感もあります。ダシはカツオの深い味が印象的です。全体としてやや薄味ですが、キリッとした締りがあり端正です。
良い年越し蕎麦を食べることができました。会計を済ませ店の出口の扉を閉めようとした時、奥の厨房から店の主人が見えました。客に向かって直立し丁寧にお辞儀をされていたのが印象的でした。言葉にならない言葉を感じました。