珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル

カフェ・ド・ランブル

銀座の老舗「珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル」に行ってきた。珈琲だけの店ってのが渋い。到着したのは夕方6時頃で辺りはすっかり暗くなっていた。銀座の路地裏にぼんやりと光るオレンジ色の看板、時代を感じる。

店の入り口付近に焙煎室があった。私が興味深そうにみていると、若い店員さんが快く焙煎室の扉を開けて中を見せてくれた。焙煎機は2台あり、一つは富士ローヤルの熱風式の10kg釜、もう一つは富士ローヤルの前進の富士珈機だと思われる3kg程度の半熱風釜。かなりの年季を感じる。戦後から昭和の激動の時代をまさに機関車のごとく火炎と蒸気を上げて走り抜けてきたその釜からは只者ならぬ存在感を感じる。自分的にちょっと意外だったのは釜が熱風式、半熱風式だったこと。古くからやっている店なので直火式かなぁと思っていたのだが、あっさりと裏切られた。そのあたりもランブルなりの考えあっての事だと思われる。

富士ローヤル熱風式焙煎機10kg

ランブルの特徴として「オールドコーヒー」というものがある。それは珈琲豆を収穫後、何年も寝かせてエージングさせる。中には数十年寝かせた豆もあるという。一般的には収穫後間もないニュークロップにこそ価値があるとされ求める人も多く値段も高い。オールドコーヒーという考えは世間の価値観を根底から覆すような衝撃的なものだと思う。正直、自分もオールドコーヒーの良さが理解できていないし、オールドコーヒーという発想自体が無かった。しかし、ランブル曰く「そうゆう珈琲に出会っていないだけだ」と。

カフェ・ド・ランブル

メニューも独創的で、「プラン・エ・ノワール “琥珀の女王”」(ミルクを浮かしてシャンペングラスで召し上がる洒落たコーヒー)「カフェ・ロワイヤル(コミャック付き)」「カフェ・ウフ(卵黄入りコーヒー」などがある。私は、この店で一番ベーシックと思われるブレンドコーヒーの中から「カフェ・ノワール 中カップ(中濃・ブラック)」を注文した。デミダスカップぐらいの小さなカップに注がれて出てきた。味はニュークロップのような明るさやフレーバーではなく、それとは別のまったりとしたものの中から感じられる特異な風味を感じた。

そして次に注文したのは「ウォーター・ドリップ(水出しコーヒー)」。ショットグラスに注がれて出てきた。50mlぐらいの量だろうか・・とにかく濃厚なエキスだ。アルコールが入っているのではないかと思うぐらいリキュールに近い味。自分的には、こういった濃縮珈琲はエスプレッソと同じように砂糖を入れて飲むのが好きだが今回はストレート。う~ん苦い。強烈なカフェインに酔ってしまいそう。

ランブルは随所に独自のこだわりが見られるが、その一つとしてオリジナルのグラインダーがある。微粉の少ないコーヒーミルを追求した「ランブル・グリッドミル」井上製作所との協同開発とのこと。珈琲は豆を粉として挽くときどうしても微粉が出てしまう。微粉は抽出を狂わせる。例えば中細に挽いたつもりでも微粉の量が多ければ、それは中細+極細となってしまう。微粉は珈琲のキレの悪さや、雑味の原因ともなる。自分もけっこう微粉は気にする方で、うちではSCAAのカッピングにも使われるカーチス・コーヒーグラインダーを使っている。カーチスと比べてランブル・グリッドミルの微粉量はどうなのか、ちょっと気になる。

店内は歴史を感じる昭和の喫茶。今風のモダンな店が増える中で、なお一層のこと重みと存在感を感じさせる。

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Tomomichi Morifuji

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