冷めた珈琲は不味いのか?

「珈琲は熱々でないと美味しくない」「冷えた珈琲は不味い」という人がいます。珈琲は嗜好品なので、人それぞれのこだわりや価値観があるものと思います。それを前提にした上で、あえて私の嗜好でいうと、「冷えた珈琲は不味い?」という問いに対しては「良い珈琲は冷めても美味い」と言っています。さらにいえば、「熱々の珈琲では味が分からない」「冷めた珈琲はまろやかな味」と言っています。

「冷えた珈琲は不味い」という人がいるのはなぜでしょうか?

①「熱くなければ珈琲ではない」という先入観があって、熱い=美味しい 冷めた=不味い という単純な図式が頭の中で出来上がってしまっている。

②品質の悪い珈琲を飲んでいる。人は熱すぎる温度では味覚が鈍く、人肌の温度で味覚が一番冴えるといわれています。珈琲が熱い時は味覚が鈍いので、その珈琲の味に気づかないが、冷めてくると味覚が冴え不味い珈琲を飲んでいることに気づく。生豆の品質、焙煎の良し悪し、焙煎後の保存状態によって珈琲豆の品質は大きく変わる。

「冷めた珈琲は不味い」という人は比較的年配の人に多いように思います。1970-80年代の前半にかけて、日本は空前の喫茶店ブームであり、その当時は今のように品質の良い豆は少なく価格重視のコモディティー豆が中心でした。その当時飲んでいた珈琲の味(品質の良くない)を覚えていて、「冷めた珈琲は不味い」と思っている。ということもあるのかもしれません。

ドリップポット

「冷めた珈琲は美味しい」

人間の味覚は先ほど述べた通り人肌程度の温度で最も冴えてくる。さらに味覚の種類によっても異り、甘味は人肌程度で一番感じ、苦味は温度が低い程感じ、酸味は温度に関係なく感じる。珈琲が冷めてくると甘味がより強く感じられるので「冷めた珈琲はまろやかな味」として感じられるのだろう。

ちなみに私は、ドリップポットに僅かに残ったコーヒーの味が好きだ。朝起きて、淹れた珈琲の残りがそのままポットに残ったままのときがある。数時間ぐらいすぎて、それを飲んでみると実に濃厚かつ円やか。この冷めた珈琲を飲むのは、私のちょっとした楽しみの一つだ。

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Tomomichi Morifuji

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